07.04
2017
電解水生成装置の選定の仕方について
電解水生成装置の選定の仕方について、弊社なりの考え方をご紹介します。
それなりに高額な製品ですので、購入前に選定のポイントをおさえておきましょう。
現在、電解水は食品、農業、医療等、様々な分野で利用されていますが、ここでは食品と環境衛生分野での使用を前提とした装置の選び方について、簡単にご紹介します。
何に使いたいのか、電解水の使用目的を明確にしておきましょう。
食材の殺菌や調理器具の除菌等、厨房全体の衛生管理(食中毒対策)に使いたいのか、手洗いをメインに使いたいのか、施設全体の環境衛生(ノロウィルス対策等)に使いたいのか、まずは使用目的をはっきりしておきましょう。
《 食中毒対策 》
《 ノロウィルス等感染症対策&環境衛生(200ppm) 》
使用目的に対する許認可や行政指導の有無について確認しておきましょう。
電解水と一口で言っても様々な種類があります。まずは、どの種類の電解水が使用目的にかなう電解水なのか、また、その使用に際して許認可や保健所の指導があるのか等、知っておく必要があります。
例えば、使用目的が食品の殺菌であれば食品衛生法で認められている電解水でないと「この電解水は食品の殺菌には使えませんよ。」と保健所から指摘を受けることになります。食品や食材の殺菌に使用するためには、食品添加物(殺菌料)に認められている電解水が選定の基準になります。
現在、食品添加物(殺菌料)に認められている電解水は、次亜塩素酸水(強酸性次亜塩素酸水、弱酸性次亜塩素酸水、微酸性電解水)、電解次亜水です。
詳しくは弊社HPの電解水の位置付け(殺菌性電解水の認可状況)をご覧ください。
なお、食品添加物(殺菌料)に認められている電解水であれば食品や食材の殺菌の他、調理器具、食器、ふきん、おしぼり等の除菌にも安心して使うことができます。
また、ノロウィルスによる食中毒や感染症対策として、食器・環境・リネン類などは次亜塩素酸ナトリウム(おう吐物などの処理は1,000ppm、それ以外は基本的に200ppm)を使って消毒するよう保健所が指導しており、これら行政の指導内容を知らないと後々困ることになります。
ノロウィルス対策には食品添加物(殺菌料)に認められているいずれの電解水も有効なのですが、おう吐物処理や有機物との接触による塩素の失活を考慮すると次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒が最も現実的なのだと思います。
ちなみに、この次亜塩素酸ナトリウムと成分が同等とされる電解水は「電解次亜水」であるということも覚えておきましょう。従って、ノロウィルスによる食中毒や感染対策にも電解水を活用したい場合は、電解次亜水を選択するのが賢明かと思います。
どのような装置を選ぶべきかを、以下の視点から整理してみましょう。
最終的に以下の視点を総合的に判断して最適な装置を選んでください。
吐出量(生成量)は?
吐出量は作業性や殺菌効果に大きく影響します。例えば、野菜を殺菌する場合、吐出量が少ないとストレスになり、作業効率も大幅にダウンします。シンクに電解水を溜める時間、専用蛇口から吐出される電解水の量は作業性と殺菌効果を両立させる上で極めて重要なファクターになります。
流水でジャブジャブ使うことで低濃度でも殺菌効果を発揮できるのが電解水なので、装置を選ぶ上で吐出量は重要な要素になります。
食材の殺菌や調理器具等の除菌に使用する場合、シンクの大きさや食材の処理量にもよりますが、1蛇口の吐水量は少なくとも5L/分は確保したいところです。
なお、手洗いは2~3L程度/分の吐出量であれば問題ないと思います。
これまで、「吐出量が少なくて作業にならない」という理由で電解水の使用を止めた現場をたくさん見てきましたので吐出量は重要ですよ。
電解水の特性は?
概ね、食品添加物(殺菌料)に認められている電解水は安全性が高く、環境負荷も少ないのが現状です。但し、電解水によっては、理論的殺菌力は強いものの塩素濃度が低いので汚れがあると塩素の失活が早かったり、金属腐食や劣化が顕著であったり、手肌にやさしい等、少なからず長所短所があります。従って、使用目的を決めた段階で、それぞれの電解水の特性も知っておくことはとても重要です。
イニシャルコスト(装置の価格)は?
電解水の種類や生成量にもよりますが、流水式の装置では最低でも40万円前後(定価ベース)はするので費用対効果をしっかりと検証しておきましょう。
装置本体の価格だけでなく、別途購入しなければならないオプション品があるのか、また、設置工事費や電解槽等定期交換部品の交換頻度や価格についても確認しておきましょう。
ランニングコストは?
装置のイニシャルコストも重要ですが、日々使用する電解水のランニングコストも極めて重要です。電解水のランニングコストは基本的に水道水、電気、添加剤(塩や塩酸等)で構成されています。軟水器が必要な装置では原塩や樹脂再生費もプラスされますが、概ね電解水の生成コストは安価です。但し、希塩酸を添加剤として使用する装置(微酸性電解水)は塩に比べ、かなり高価になります。また、大量に電解水を使用する現場では、水道代や電気料金もばかにならないので予め確認しておきたい項目です。
ちなみに、塩を添加剤に使う電解水の費用占有率は、水道水>添加剤(塩)>電気です。塩酸または塩酸+塩を添加剤に使う微酸性電解水の場合は添加剤(塩酸等)>水道水>電気で、ランニングコストに占める添加剤の割合が最も大きくなります。
また、電解水別ランニングコストは概ね、微酸性電解水>酸性電解水(弱酸、強酸)>電解次亜水になります。
なお、微酸性電解水と電解次亜水の生成装置からは、1種類の電解水しか生成しませんが、酸性電解水(弱酸性電解水と強酸性電解水)の生成装置からは酸性電解水の他にアルカリ性の電解水も同時に生成しますので、アルカリ性電解水も有効に活用しないと捨て水になってしまいます。
スペース性(小型・軽量等)と設置バリエーションは?
都会では設置スペースを確保するのが容易ではありません。特に狭い厨房では壁、シンク下のスペースも有効に活用しなければなりません。
電解水を使いたくても設置スペースがないとどうしようもないので、可能な限り小型・軽量で設置バリエーションの豊富な装置を選択することをお奨めします。
なお、酸性、アルカリ性2種類の電解水を生成する酸性電解水生成装置は比較的生成量が少ないので一旦、タンクに溜めてポンプで適量の電解水を吐出させることが多々あります。この場合、生成装置本体の他、塩水タンク、貯水タンク、ポンプユニット、軟水器等が必要になり、結構なスペースを取るので注意が必要です。
装置の使い勝手(機能や操作性)は?
使用目的にかなう塩素濃度の生成が可能か、誰が操作しても確実に目的の電解水が吐出するか、装置に不具合が発生したり、所定の電解水が吐出しない場合にはエラーメッセージやブザーが鳴る等の安全機能が付いているのか等、事前に確認しておきましょう。
アフターサービス(保守)は?
購入前にアフターサービスの良し悪しを見極めることは大変難しいものです。販売時には良いことばかり言って、売ったあとはトラブルが起きても知らん顔というような業者もいるようです。高額な買い物でもあり、電解水の長所・短所、正しい使い方、取扱上の注意事項、交換部品の頻度と価格、定期点検の必要性等、しっかりと説明できる販売店及びメーカーの製品を選定すべきでしょう。
電解水生成装置は殺菌、除菌に使うものなので、少なくても1年に1回は点検を受けて、装置はもとより電解水の性能をしっかりとチェックして使うようにしましょう。