「強電解水」とは?
0.2%以下の薄い塩水を隔膜を介して電気分解すると、陽極側に殺菌力のある次亜塩素酸を主成分とした「強酸性電解水」が、陰極側に洗浄力のある水酸化ナトリウムを主成分とする「強アルカリ性電解水」が同時生成します。
原料は「水」と「塩」なので、安全かつ安価に作ることができます。
「強酸性電解水」は「次亜塩素酸水」という名称で食品添加物(殺菌料)や特定防除資材に指定されているほか、医療分野においては、装置の個別申請により手指消毒や内視鏡消毒として医療機器認可を取得している装置もあります。
強電解水の「生成原理」
強電解水は、陽極と陰極を仕切る隔膜を介する二室型電解槽で作られます。
- 陽極側
- 水(H2O)から酸素(O2)と水素イオン(H+)、また塩化物イオン(Cl-)から塩素(Cl2)が生成します。生成した塩素は水と反応して次亜塩素酸(HClO)と塩酸(HCl)ができます。その結果、原水に比べて著しく酸性化(pH2.7以下)し、溶存酸素と酸化還元電位が顕著に上昇し、有効塩素濃度が20~60ppm に達します。これが強酸性電解水です。
- 陰極側
- 水(H2O)から水素(H2)と水酸化物イオン(OH-)ができ、水素は溶存酸素と反応します。その結果、溶存酸素と酸化還元電位が顕著に低下し、高アルカリ性(pH11~11.5)となります。これが強アルカリ性電解水です。
使用方法・用途
強酸性電解水は流水使用(掛け流し)が基本です。
強酸性電解水は即効的で強力な殺菌力を有しているものの、ヌメリなどの有機物汚れがあると効果が低下する性質があります。反面、強アルカリ性電解水は水洗いだけでは落ちにくいヌメリや油脂、タンパクなどの汚れを洗い流す性質があります。
従って、これら2種類の電解水の性質を組み合わせたり、使い分けたりすることでより効果的な洗浄・殺菌が可能となります。
強酸性電解水/殺菌・除菌・食中毒対策
A)野菜や果物、魚介類などの食材・食品の殺菌洗浄 B)食器・調理器具の除菌洗浄
C)ふきん・おしぼり・タオルの除菌洗浄 D)床・壁・テーブルの除菌洗浄 E) 消臭
強アルカリ性電解水/洗浄
A) まな板、包丁などの洗浄 B) 床・壁・排水溝の洗浄
食材・食品の殺菌
野菜、果物、魚介類など強酸性電解水で殺菌します。
調理器具類の洗浄除菌
まな板、包丁など強アルカリ性電解水で汚れを落としてから強酸性電解水で除菌します。
ふきん・おしぼり・タオルなどの洗浄・除菌
強アルカリ性電解水で汚れを落としてから、強酸性電解水で除菌します。
床・壁・排水溝の洗浄
強アルカリ性電解水でヌメリや汚れを除去します。強酸性電解水で除菌・消臭します。
強酸性電解水の殺菌効力試験
試験菌 |
初発菌数 |
作用時間 |
30秒 |
5分 |
10分 |
B.subtilis(枯草菌(芽胞)) |
1.1×105 |
1.2×105 |
1.0×101 |
<10 |
C.albicans(カンジダ) |
3.3×105 |
<10 |
<10 |
NT |
A.actinomycetemcomitans |
2.2×105 |
<10 |
<10 |
NT |
S.mutans(虫歯原因菌) |
1.5×105 |
<10 |
<10 |
NT |
S.sanguis |
6.7×105 |
<10 |
<10 |
NT |
強酸性電解水:pH2.69 有効塩素濃度22.7ppm(<10:検出限界以下。NT:実施せず)
試験依頼先:(財)食品薬品安全センター秦野研究所(2003年9月実施)
試験菌 |
試験対照(蒸留水)
作用時間5分 |
強酸性電解水
作用時間30秒 |
S.mutans(虫歯原因菌) |
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※(財)機能水研究振興財団のHPもご覧下さい。