開発者コラム

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11.26

2021

細菌とウイルスの違いってなに? 1

編集者:機能水事業部

 厚生労働省のホームページに掲載されている、「食中毒統計資料」を見ると、昨年2020年の食中毒発生件数は事件数:887件、患者数:14,613人となっており、一昨年あたりから少なくなっています。これは、新型コロナウイルス予防のため、 手洗いを頻繁に行ったり、宅食が増えたことも一部関係があるかもしれません。
こうした状況の中、過去4年間の病因物質別(詳細)の件数は次のようになっています。



☆資料の病原物質の分類では
・カンピロバクター:細菌(食中毒に関連する主な細菌としては、サルモネラ菌やぶどう球菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌、ウエルシュ菌などがあります)
・ノロウイルス:ウイルス
・アニサキス:寄生虫
に分類されておりその他は化学物質や自然毒によるものなどがあります。

今回は、カンピロバクターやノロウイルスなど、同じようで実は違う、“細菌とウイルス”の違いを取り上げてみました。
       

■構造の違いは?

 一般的に細菌は、基本構造として、細胞壁、細胞膜、細胞質、核酸などの細胞構造を有し、細菌自体が一つの細胞であり、単細胞生物と呼ばれています。これに対し、ウイルスは細胞を持たず、たんぱく質の殻と内部に核酸(DNAかRNA)を 持っただけの非常に単純な構造をしています。また、ウイルスの種類によっては、エンベロープと呼ばれる膜成分を持つものもあります。


■大きさは?

 菌の大きさはおおよそ0.5~5μm(マイクロメーター:1mmの1/1000)と言われています。一方、ウイルスの直径はおおよそ0.01~0.2μmと言われています。ヒトの肉眼で見えるのは200μmまでと言われ、細菌は、光学顕微鏡で見ることができますが、ウイルスを見るには電子顕微鏡が必要となります。
 参考までに大腸菌・サルモネラ菌の大きさは約2μm、ノロウイルスの大きさは約0.03μmです。
このように、ウイルスは、細菌にくらべ、非常に小さいことがわかります。

■どのようにして増えるの?

 細菌は先にも述べた通り、それ自体が一つの細胞であり、自己増殖能力を持っています。細菌は糖やたんぱく質などの栄養と適切な環境があれば、自己増殖でき、二分裂で元の細菌と同じものが2倍、4倍と増えていきます。
ジュースや生ものをほっておくと、腐って(=細菌が増殖し、細菌だらけになる)きます。このように細菌は人の体以外の場所でも、勝手に増殖していくことができます。


 ウイルスは、細胞がなく、非常にシンプルな構造のため、単独では増殖できず、ヒトなど他の生物の細胞に侵入(感染)し、その細胞が持っているDNAやRNAの増殖機能を借りて自身を増殖させます。
繰り返すと、細菌は自分で増殖できますが、ウイルスは単体では生存・増殖できません。

 このように、細菌とウイルスは構造、大きさ、増殖の仕方など、全く別の物ということが分かります。

 次回は、治療法や予防のポイントなどを取り上げたいと思います。