08.16
2021
電解次亜水は切り花の延命に使えないの?
「電解次亜水は切り花の延命に使えないの?」という問い合わせが結構ありますので、今回は、以前の「電解次亜水は加湿器(給水タンク)の水に使えないの?」に続き、食品衛生以外の使用例についてお話ししたいと思います。
■切花を長持ちさせるためには?
インターネットで「切花 電解水、延命」などのキーワードで検索すると、「切り花を長く持たせる次亜塩素酸水!」、「切り花を長持ちさせるためには?キッチンハイターと砂糖・・・」など様々な情報が出てきます。
そこには、切り花の生け水に電解水やハイター等を使うと、細菌の繁殖が抑えられ、水揚げが良くなるので切り花が長持ちするということが書かれています。
水道水には殺菌のために0.1ppm以上の塩素が入っていますが、塩素量が極めて少ないので日に当たったり、有機物と触れると短時間でなくなってしまいます。塩素のなくなった水は細菌が繁殖し、腐敗していきます。
(この理屈は加湿器の水と同じです。)
このような状態になると、水を吸い上げる切り花の管(道管)が細菌で汚染され、つまったり、細くなったりして吸い上げが悪くなり、花が枯れてしまうので電解水やハイター等を入れて水の汚れを抑制(遅らせる)するというものです。
特に、暑い夏場は水が汚れるスピードも早いので、目で見て濁ってきたなと感じたら水替えする必要があります。
次亜塩素酸水や電解次亜水、ハイター等は延命剤や栄養剤ではありませんが、塩素系の殺菌剤なので水道水の腐敗を抑制したり、容器内のヌメリを防いだり、切りハサミや容器・器具の除菌等にも有効利用できるという一例です。
なお、電解水やハイターには細菌抑制効果はあるものの、花に栄養を与えることはできません。花の栄養は糖分なので、希釈した電解水に糖分を加え、より市販の延命剤の効能に近づけしようと果糖ぶどう糖の入ったサイダーを入れてみましたが、 予想通り、塩素濃度が低下してしまいました。 残念!残念!
ネットでは「酸性電解水」を用いた例が最も多いようですが、電解次亜水との違いは大まかに言うとpHの違いです。「じゃあ、電解次亜水はどうなの?」ということになりますが、細菌の繁殖を抑え、水の腐敗を抑制するということでは何ら違いはありません。 但し、花によって酸性を好むもの、アルカリ性を好むものがあるので、花を扱う専門家の目で「使える、使えない」を判断されることをお奨めします。ちなみに、電解次亜水の液性は弱アルカリ性です。
それでは、「どの程度の塩素濃度で使えば良いの?」ということになりますが、これに対する明確な答えは持ち合わせておりません。但し、濃度が高ければ殺菌力は高くなるものの、切り花にダメージを与える可能性があるため、低濃度(10㎎/ℓ=10ppm以下)
で試さることをお奨めします。弊社のビーコロンをお使いのお客様は50ppmの電解次亜水を5~10倍に薄めてください。
なお、容器・器具・切りハサミなどの除菌は50ppm~200ppmの範囲で使用しますが、金属腐食性がありますので、切りハサミなどの金属に使用した場合には必ず水洗いし、水分を拭き取ってください。