開発者コラム

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10.15

2018

電解水生成装置とスケールについて

編集者:オキシライザー商品部

 電解水、特に塩水を電気分解する装置において、スケールと装置の不具合は切っても切れない関係です。スケールとは、水中のカルシウムやマグネシウム(ミネラル分)が析出したもの、いわゆる”水垢”のことです。電解水生成装置では、水道水を使用したり塩水を電気分解することにより装置内部や配管経路にスケールがたまり、電解性能の低下はもとより漏水や故障の原因にもなります。今回は電解水生成装置の大敵でもあるスケールについてお話したいと思います。

■スケールの主な原因は

1. 原水(水道水)の硬度(ミネラル)
 電解に使用される水は基本的に水道水です。水道水にはカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどが含まれており、水の風味や味わいを醸し出しています。このカルシウムとマグネシウムが水1000ml中に溶けている量を表した数値を「硬度」と言い、ミネラルウォーターや水の性質を表すときに「硬水」や「軟水」という表現が使われます。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/L以下を「軟水」、120mg/L以上を「硬水」と言いますが、日本では一般的に100mg/L未満を「軟水」、100mg/L以上を「硬水」と言っています。
 電解水生成装置におけるスケールの原因はこのカルシウムやマグネシウムが主であり、硬度が高くなればなるほど電解水生成装置にスケールが付きやすくなります。硬度は日本各地で異なり、水道水に比べ地下水や井戸水では高くなる傾向にあります。

2. 塩(添加剤)の成分
 弊社の電解次亜水生成装置「ビーコロン」や強酸性次亜塩素酸水生成装置「オキシライザー」はどちらも添加液に食塩水を使用します。微酸性次亜塩素酸水生成装置の一部には添加液に希塩酸のみを使う装置もありますが、食塩水または希塩酸に食塩を混ぜたものを添加液に使っている装置が最も多いと思われます。弊社では電解水生成装置に使う塩を「塩化ナトリウム 99%以上の食塩」もしくは「塩化ナトリウム99.5%以上の精製塩 25kg入り袋」とし、カルシウム、マグネシウムの含有量を最小限に抑えるようにしています。 ちなみに、高価な天然塩(ミネラル塩)などは塩化ナトリウムの比率が低い分、ミネラル成分の比率が高いので電解水生成装置の添加剤には適しません。つまり、電解水生成装置においては水道水同様、塩に含まれているミネラル成分がスケールの原因になってしまいます。なお、「塩化ナトリウム99.5%以上の精製塩」にはミネラル成分は殆ど含まれていませんが、スーパーマーケットなどで販売されている「精製塩(1kg入り)」に限っては、ミネラル成分である炭酸マグネシウムが0.3%程度入っているので添加剤には使えません。 なぜ25kg入り袋の精製塩は使用可能で1kg入り袋精製塩は使用できないのか?という理由は、炭酸マグネシウムの含有の有無にあるのです。精製塩は塩化ナトリウムの比率が高いので塩自体がくっつき、固まりやすいという性質があります。一般的に25kgの大袋は業務用としての使用が一般的なのに対し、スーパーで販売されている1kg入り袋は家庭用としての使用が多いため、すぐに塩が固まってしまうと使い勝手が悪くなるので炭酸マグネシウムを入れて固まり難くしているのです。

       

■スケールが蓄積すると

 スケールが蓄積すると電解水生成装置には様々な悪影響が出てきます。塩水を電気分解する電解槽内にスケールがたまると電解効率が落ち、必要とする塩素濃度が出なくなったりします。また、配管にスケールが詰まると漏水の原因になったり、センサー部にスケールが付着すると誤作動を起こしたりと、スケールは電解水生成装置において“百害あって一利なし”です。

       

■スケールの影響を最小限に抑えるためには

       

スケールを全く無くすことは難しいのですが、スケールによる電解水生成装置への影響を最小限に抑えるために
・添加剤として使用する塩はメーカーが指定する塩を使用すること。
・軟水器を設置し、原水(水道水など)の硬度を落とすこと。(但し、シリカなどは除去できません。)
・メーカーが指定するメンテナンスを確実に実施すること。
 ちなみに、ビーコロンCL-S60は、200時間使用毎に「クエン酸洗浄」を行っていただくことになっています。(クエン酸を使って、スケール成分を溶かす作業です。)
 ※硬度の高い地域は、メーカーが定めるメンテナンス周期より短期間でメンテナスを行う必要があります。
・水道水の硬度は地域ごとにインターネットなどで調べることができます。硬度についてご不明な点がありましたらメーカーや販売店に相談しましょう。