開発者コラム

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02.23

2021

攪拌のすすめ

編集者:機能水事業部

■効率よく殺菌を行うために

 食材の殺菌作業を行う時、ひと手間かけることによって、殺菌効率が良くなることをご存知でしょうか?
  これまで、何度か“塩素の性質”のお話をしてきましたが、塩素は有機物と接触すると、消失していく性質があります。 そのため、殺菌水(ここでは次亜塩素酸ナトリウム溶液や電解水のこと)に食材を投入すると、食材の周りの部分から、塩素がうすくなっていく傾向があります。

   

 大量調理施設衛生管理マニュアルでの殺菌は次亜塩素酸ナトリウム溶液を使った浸漬処理が基本なので、殺菌水に食材を投入後、時間が経つまで(200ppmの場合は5分、100ppmの場合は10分間)そのままにしておくケースが多いと思います。
塩素は水より比重が重いため、槽の下部の方が濃くなりやすいのと、キャベツなど食材は水に浮きやすいので、シンクやボールなどの槽内では、塩素の濃い部分(底部)と薄い部分(上部)が発生しやすくなります。(特に浸漬処理の場合は、食材を投入した後、水の動きがほとんどないので、塩素濃度が均一になりにくい)



 それに比べ、電解水は流水使用が基本で、オーバーフローさせながら使うのが一般的です。流水使用のメリットは新鮮な塩素を供給できることは勿論、槽内の電解水に流動を与えることができるため、比較的塩素の濃度は均一になりやすいようです。 但し、投入した食材が多すぎると蛇口から出た電解水の流れが食材に邪魔され、塩素が槽の下部まで届かず、オーバーフローしてしまう恐れがあります。



 浸漬処理や流水処理に拘わらず、食材と殺菌水の比率は食材1に対し殺菌水10など、殺菌水の比率が多いに越したことはありません。一度に多くの食材を投入すると作業効率は上がるでしょうが、殺菌効率は下がってしまうので注意が必要です。また、水面から出ている(浮いた)部分は殺菌できないことも知っておきましょう。

 このように、いずれの方法であっても食材の投入量を考え、時々手で攪拌するなど、食材と殺菌水が満遍なく接触するよう心掛けることが重要です。